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K-magazine 第7号
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<音楽評>
シン・ジュンヒョン&ヨプチョンドゥル『第一集』−大韓ロックの父による歴史的名盤−

music

 まぎれもなく、ロックである。しかし耳慣れた欧米音楽の単なるコピーでもない。私がこれまでに聴いてきたどの音楽にもない、伽那琴(カヤグム)やパンソリといった民俗音楽をベースにした独特のギターや曲構成に、正直言って「なんじゃこの妙なギターリフは?」と、軽いショックを受けたものだ。しかしこの音が、クセになるのである。

 大韓ロックの父と呼ばれるシン・ジュンヒョン(申重鉉)は一九三八年生まれ、今年で六十四歳になるいいオヤジ(というかもはや初老と呼ぶべきか)である。一九五九年にアルバム『ヒッキー・シン・ギター・メロディ』でデビューし、六二年に韓国初のロック・バンドADD4を結成。「ピソゲ・ヨイン」をヒットさせた。さらには多数のミュージシャン・バンドをプロデュースするなどして、「シン・ジュンヒョン師団」と呼ばれたそれらの人々とともに韓国の地に西欧音楽を根付かせていくのである。

 デビュー以来、単なる西欧音楽の模倣ではない、韓国の伝統音楽的要素を積極的に取り入れていく手法は、七四年のシン・ジュンヒョン&ヨプチョンドゥル結成/本作にて昇華する。アルバムの一曲目に収録されている、「ミイン(美人)」は大ヒット。ファンキーでソウルフルなヴォーカル、ねばる伽那琴調のギターリフ、アシッドでサイケデリックなこの曲は、大韓ロック史上不朽の名曲と呼ぶにふさわしい。

 だが、このアルバムを「ミイン」のみで語るのは早計である。

 タルチュム(仮面舞)のリズムに乗せて<おいらはおまえを愛している>というフレーズをとその逆さ読みをひたすら反芻する、鎮魂と諧謔(かいぎゃく)の「おいらはおまえを愛している」。「おれは知らねえ」に見る、パンソリ風に搾り出すヴォーカル。力強いサビに<言いたいことは、言えないことだけだ>と愛を歌う「言うこともないが」の隠れたメッセージ性。そしてアルバムの最後を飾るインストゥルメンタル曲「昇る太陽」は、キング・クリムゾン風のインプロビゼーション(即興演奏)で、サイケデリックで混沌とした世界を見事に演出している。アルバム全編を通して聴き所があらゆるところにある、大韓ロックの核心であり、実に韓国の大衆音楽史上、欠かすことのできない歴史的傑作なのである。

 しかし彼の自由な創作精神は、本作を発表した翌七五年に活動停止を余儀なくされる。政治的に不穏として曲の多くが演奏禁止となり、さらにはマリファナ事件に巻き込まれるということもあり、朴政権によって放送活動やアルバム発売はもとより演奏活動すら禁止され、ミュージシャンとして経済活動を営むことができなくなったのである。彼が活動を再開できるようになるのは、八〇年「ソウルの春」が来た五年後であり、その時すでに韓国の音楽シーンはディスコ・ミュージックとバラードが支配していたのである。

 だが、父は強し。彼は復帰後もミュージックパワーというバンドを編成し着実に活動を継続。二〇〇〇年にはソロによる二枚組大作『無為自然』を発表している。

 ロックオヤジ、一人歩きはまだまだこれからというところであろうか。

(金成浩)


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