Kカルチャー 映画評
「ガン&トークス」
現代のソウルを舞台にした、四人組の「殺し屋」の話。彼らのうりは依頼人の希望する通りの方法でターゲットを仕留めることだ。大企業に渦巻く陰謀あり、愛憎の果てに残された禍根ありと、人々の思いが錯綜している中、どこから噂を聞きつけたのか、彼らへの殺しの依頼は絶え間なく転がり込んでくる。ターゲットを狙って超高層ビルに潜入する映画の冒頭では、彼らの殺し屋としての鮮やかな手並みが、テンポ良く、洗練された映像によって描かれる。音楽のセンスや、映像技術はなかなか良質だ。緊迫した場面では、思わず息を凝らした。
だが、ひとたび仕事を離れた彼らには、コミカルなエピソードが用意されている。一つ屋根の下に暮らしている彼らは、毎朝のニュースを欠かしたことがない。普通なら殺し屋家業の宿命なのかと思うところだが、実は清楚でかわいいニュースキャスターがお目当てで、テレビの前に陣取った寝起き姿の四人は、なんともフヌケた顔をしている。また、彼らを追い詰めていく刑事が"I will never miss you."と挑発の言葉を残せば、頭をつき合わせて必死に辞書をひく、といった調子だ。
この映画の原題は、直訳すると、『殺し屋たちのおしゃべり』。タイトルの通り、四人でのおしゃべりは映画の中に多く登場するが、殺しのシーン以外の彼らは、いつもとぼけている。パロディーもちりばめられるなど、観客を笑いに誘うことを大切な要素として意図しているのがわかる。キャラクターの「クールな殺し屋」としての顔と、「無邪気なフツウの若者」としての顔のコントラストに、監督はありがちな美学を求めているようだ。
四人の殺し屋役には、初めて日韓両国で放映された日韓共同制作ドラマ『friends フレンズ』に主演し、日本での人気も高いウォンビンや、『JSA』で見せた朝鮮民主主義人民共和国の純朴な兵士役が印象に残るシン・ハギュン、若手演技派として出演作も多いシン・ヒョンジュンやチョン・ジェヨンが起用され、公開時の二〇〇一年、韓国で興行的に成功を収めている。この非現実でナンセンスな物語は、カッコ良くて、スタイリッシュな殺し屋たちのおかげで、観客に容易く親近感を与えたようだ。映画を見た後、ポスターでクールに銃口を向けるウォンビンと一緒に、カメラ付き携帯電話の画面に納まる女性を多く目にした。
映画を通して拭えなかった違和感がある。シリアスであるものの、あまりに淡淡と描かれる「殺し」のシーンだ。映画の演出上、「死」を際立たせるために、そのような手法を用いることはある。しかし、この映画では「殺す」という行為の意味は奪われて、なんの痛みも感じない。暴力、残虐さとは無縁な、ドライな感触があるだけ。「死」の扱いの薄っぺらさが、この映画を語っているように感じられた。
(安彩子)
|