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K-magazine 第12号
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〈日本−在日−韓国〉ユースフォーラム2003
東アジアという空間に平和という時間を

special

 十月三日から六日にかけて、「〈日本−在日−韓国〉ユースフォーラム二〇〇三」(以下、ユースフォーラム)が東京で開催されました。三泊四日という日程を通じて、日本側(在日も含む)で一五〇名、韓国からは五一名が来日し、今回参加いただいた団体の方や、通訳の方など協力者を含めると二五〇名規模の行事となりました。

 ユースフォーラムは、日本・在日・韓国に若者の開かれた「出会い・交流・対話の場」です。NGO・NPOに参加する、また市民活動に関心を持つ日本・在日・韓国の三者によって自発的に運営されています。

 今年で七回目を迎えたユースフォーラムは、『東アジアという空間に平和という時間を』をメインテーマに、テーマ別フィールドワーク、日韓青年NGOシンポジウム、公開イベントなど内容の濃いものとなりました。

 ここで全てを紹介することは出来ませんが、参加したメンバーからのルポでその熱気をお伝えします。

(琴志夏/東京)


定住外国人・定住者フィールドワーク

「様々な境遇を持つ定住者の視点から眺めた日本」

special

 今回のフィールドワーク(FW)では、日本に帰国した中国残留日本人、そして日本で暮らす中国朝鮮族の問題を取り上げた。これまでのユースフォーラムでは主に外国人労働者の問題を中心にFWを行ってきたが、今回は少し視点を広げ、在日コリアンとも外国人労働者とも異なる境遇を持つマイノリティに焦点を当てた。

 まず午前は「中国帰国者の歴史と現状」がテーマだ。「中国帰国者の会」の中村氏(同会事務局)より中国在留日本人の歴史的背景や帰国後の問題点など全般的な状況説明があった。戦前日本の国策で多くの日本人が「満州」に渡ったが、敗戦後の混乱の中、様々な事情から帰るに帰れなかった人々が中国残留日本人と言われている。日中国交正常化以降、中国残留日本人の日本への帰国が本格化したものの、政府による十分な生活保障がないため、日本での定着・自立に困難を極め苦しんでいる人々は後を絶たないという(住居、就労、医療、日本語習得、子どもの教育など)。これら帰国者は、日本政府に謝罪(中国での遺棄や帰国後の生活保障の不備などに対して)や生活保障を求める訴訟も起こしており、現在も係争中だ。つまり、日本政府は「自国民」に対する戦後補償も人権保障も果たせていない。

 引き続いて、帰国当事者二名(河本氏、藤原氏)から直接の個人史や様々な思いについてのお話を伺った。お二人とも、両親の一方が中国残留日本人であり、中国で生まれ、中国人と同じように育ち、学生・青年期に一家で日本に移住・帰国してきたという。河本氏は「日本に来た以上は日本人として生きていかなければならない」と決心し、日本人になる努力を必死にされた。今は「自分は日本人だと思っている」と語っておられたが、それまでは随分と「自分は何者なのか」というアイデンティティの苦悩を味わったという。藤原氏は、日本帰国後も中国人や残留日本人の人としかほとんど付き合わず、自分は中国人だという考えを持っていた。大学卒業前に家族の説得もあって日本国籍を取得したが、「祖国は中国」であり、日本でマイノリティ、少数民族として暮らしていくのも悪くないと語っておられた。お二人の話からは、中国残留日本人帰国者の困難な境遇、そしてユニーク(固有)なアイデンティティが具体的に提示された。日本人と日本人ではない者の境界は何なのか、考えさせられる講演だった。

 午後は「在日の中国朝鮮族から見た日本」というテーマで行われた。「天池協会」の権香淑氏(在日コリアン三世、中国朝鮮族研究者)より「中国〈朝鮮族〉の歴史・移動・現状」という専門的な現状説明があり、その後同協会の李鋼哲副会長(中国吉林省延吉生まれ、一九九一年来日)より自身の個人史や韓日両社会で暮らす中国朝鮮族の現状、そして最近の朝鮮半島情勢に至るまでの幅広い講演をして頂いた。

 中国に暮らす朝鮮族は現在約一九〇万人、その九割が東北三省(延辺朝鮮族自治州がある)に居住しているというが、近年、改革開放政策の影響もあって、いわゆる朝鮮族密集地である東北三省から離れ、国内外へ移動する人々が急増しているという。貧しい故郷から出稼ぎ的に移動するケースが多い。こうして現在、韓国には約十五万人、日本には約四、五万人の中国朝鮮族の人々が暮らすようになっている。

 李鋼哲副会長は、韓国社会の在韓中国朝鮮族に対する対応が、来るべき統一後の北の人々に対する対応を図る尺度になると語った。現状では、低賃金、長時間労働、劣悪な環境で働く中国朝鮮族の人々も多いという。差別や偏見もあると聞く。韓国社会も「単一民族国家」という幻想は捨てて、既に様々なマイノリティ問題を生み出しているということを自覚しなければならない。もちろん日本社会も。

 「共に生きる社会」。言葉は簡単だ。しかし、誰と誰が共に生きるのか、どのように共に生きるのか。様々な境遇や背景を持つ人々が存在すること、互いに具体的に知り合うこと、そこからしか共に生きる社会は始まらないだろう。今回のFWは、新たな出会いの場であった。

(朴恵一/事務局)


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