Kカルチャー 音楽評
イム・ヒョンジュ 「サリー・ガーデン」
"癒し系"がここ数年、音楽シーンの中で一時の流行から現在では一つのジャンルとして定番化しつつある。今回、取り上げる「イム・ヒョンジュ」も癒し系ど真ん中のアーティストといえるだろう。CDショップで何気に買い聴いてみたのだがオープニング曲「アヴェ・マリア」の第一声を聴いた瞬間に全身の力が抜けるような感覚にとらわれた。瑞々しくしなやかな歌声に癒され放題であった。そんな美しい歌声のイム・ヒョンジュであるが二〇〇三年、韓国で二五万枚を超えるセールスを記録し社会現象を巻き起こした"奇跡の歌声"と少々大袈裟な紹介をされているが本当にすばらしい歌声である。
名門ジュリアードの予備学科で声楽を学ぶ一方、シンガーとして国内で活動。そして、二〇〇三年に今回取り上げる「サリー・ガーデン」を発表した。音楽的特徴としては"クラシック・クロスオーヴァー"と呼ばれるジャンルに分けられる。クラシック音楽にポップやジャズ、ワールドミュージックなどの要素を取り入れた音楽だ。歌っている曲も耳馴染みのあるカバー曲が多くバラエティーに富んでいる。
全曲にわたり、スローテンポの曲が多く、声の質や特徴を活かした選曲になっている。とくにオープニングの「アヴェ・マリア」ではメロディーや曲調がシンプルなため、声の伸びや清涼感が際立っている。そして二曲目は「サリー・ガーデン」というアイルランド民謡だ。どことなく懐かしさを感じさせるメロディーだ。続いてはイギリスの作曲家ヴォ−ン・ウイリアムスの楽曲「レット・ビューティー・アウェイク」。クラシックギターとチェロの音色が声の美しさと妙に合っている。その他の曲では、最近某車のCMでもよく流れている「オズの魔法使い」に出てくる超有名な曲「オーバー・ザ・レインボウ」。ついつい口ずさんでしまうくらいに心地よいメロディーだ。その他にビートルズの「ヒア、ゼア・アンド・エブリウェア」など。そして最も印象に残った曲は、イングランド民謡の「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」。題名を聞いただけではわからない方もいるだろうが「住之江ボート」のCMで流れている曲といえばわかる方も多いだろう。声の美しさや力強さが印象的でアルバム中、もっとも癒され度の高い曲であった。他にも様々な種類の曲を歌っているがカバーという感じではなくオリジナル曲であるかのような印象を受ける。かなりの技量の高さが伺えるアーティストだ。日常の忙しさに追われ疲れている方は一息ついて是非ともイム・ヒョンジュの歌声に癒されてください。
KITAOSAKA/YANG MOO YUN
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