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Kカルチャー 書評

『在日 日韓朝の狭間に生きる』  愛媛新聞在日取材班

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 昨今、日本のマスメディアには辟易している。朝鮮民主主義人民共和国を取り扱う報道しかり、イラク戦争の報道しかり。あるジャーナリストが語っていた言葉が脳裏をよぎる。「今のマスメディアでは、真実を伝えるために努力する人が少なくなってきている」

 そのような中、地方の新聞社である愛媛新聞社が一年半という期間をかけて、在日コリアンにインタビューしてきた記録の本があると知って、この本を手にした。

 文章構成は、六つの章からなっており、在日一世の方が日本に渡ってきて、苦労をした経験談から始まり、2世世代が語る民族性や日本社会での生きにくさ、在日同胞内での反目、三世・四世世代の若い人たちの姿、地域社会で日本人と一緒に取り組みを行っている人たちの声が載っている。また日本国籍だが民族名で生きておられる方、日本人にはなりたくないが、通名で生きようとする方など、世代や価値観が多様な、今の在日コリアンの姿が、そのまま表されている。

 在日コリアン一世のハラボジ(おじいさん)、ハルモニ(おばあさん)の話を目にしながら、激動の時代を生きてこられたことを強く感じさせられた。「腹いっぱい食べられる」という想いで渡日してきたこと、子どもたちの民族教育のために尽力されてきたこと、祖国の分断により、自分たちにも分断が生じたこと、日本社会の法制度的な差別が当たり前だった時代での苦労話など、当時を思い出しながら、何人かのハラボジやハルモニが語られていた。

 その中で一人のハルモニが、日本人拉致被害者の方について語っていた。「身に染みるんです。自分が日本人だということを隠し、朝鮮人に成りきって。子どもにもうち明けられず、向こうの政府の言う通りにして。そうしないと自分が生きていけないから。」国家間の関係性や国家の政策に翻弄されながらも、地に足をつけて、力強く歩んできた人だからこそ、重い一言だと思う。

 『国籍や価値観が多様化している在日コリアン』そのことを感じさせられる人のことが載っていた。「韓国系日本人」(本名を名乗って、国籍を日本にした人)として生きることを選択した人が言う。「普通の誇りを持つためにコリアンルーツを大切にしたい」、「国籍を維持することで民族性が守られるというなら、通名で民族性を隠す意味は何だろう。疑問を感じ始めている三世は、多分少なくない」つまり、民族性=国籍ではないことを示している。以前には、このような価値観を持っている人は少なかった。しかし、在日コリアンの国際結婚(在日コリアンと日本人、及び外国人)が増えている中で、このような価値観も、一つの拠り所になるかもしれない。

 在日コリアン一世のハラボジが言った「洗いざらい、ありのままの姿を知っていてほしいんすよ。」という言葉が印象に残った。ありのままの姿を見て、知って、考えること。そのことを、在日コリアンという題材をもとに、この本が私たちに伝えたかったのではないだろうか。

Kim Sangsa/AMAGASAKI


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