韓流を在日コリアンはどう視るか?
在日コリアンが韓流を考える
白政裕/北大阪
世をあげて韓国ブームである。本屋やビデオレンタルには必ず「韓国コーナー」が設置され、日本から韓国への韓国客が急増し、観光地のあらゆるお店には「ヨン様」ポスターが貼られてある。なぜか豚足屋の前にも貼ってあった。11月にはペ・ヨンジュンが来日し空港には約3500人のファンが集まった。これまで、こんなに注目されて来日した韓国人は、大昔の朝鮮通信使かヨン様くらいだ。空港ロビーはおばちゃん達のエネルギーが充満し異様な雰囲気が漂っていた。私はこの光景を見ると背中に汗が流れるのだ。
私は韓国系の衛星放送局に勤めており、韓国芸能人が来日すると取材に行くのだが、私の体でタレントが見えなくなれば、ファンの怒声が響き、口汚く罵られる。仕事とはいえ、本当に辛かった。怒声や罵声は私の背中を突き刺し神経をすり減らした。 仕事上で辛い経験もしたが、いい気分になった話もある。とにかく韓国放送局ということで感謝される。80歳以上のおばあちゃんだったか「生きる目標を見失っているところに、ヨン様のおかげでやっと生き甲斐ができました。今では化粧までしているんですよ」と顔を赤らめた。他にも「冬のソナタ」を見ることで、病気が治った人もいるという。病も気からとはいえ、「ヨン様見れば医者しらず」である。医者かと思えば、テレビ番組でこの流行、熱狂ぶりから「ヨンフルエンザ」とうまく表現されていた。とにかく、まだまだ韓流ブームは広がりそうだ。
ただ、興味の変化が早い日本社会が「韓流」ブームに飽きた時、両国の間に何が残るのかを考えると若干の不安はある。韓国を伝える華やかなニュースの後に北朝鮮の恐ろしい映像が放送されている。テレビの前では韓国に目を輝かせ、北朝鮮に顔をしかめるという現象が起こっている。同じ朝鮮半島の「今」なのに、えらい違いだ。それに、ヨン様に関心はあっても、日韓の歴史、靖国神社参拝、つくる会教科書、教育基本法の改悪などには無関心であると、日本の急激な右傾化を見ていてそう感じてしまう。
だが、そのような懸念点がありながらも、私の結論から言えば韓流ブームは大歓迎である。なぜなら、韓国・朝鮮に興味を持つ人達の増加は在日コリアンの願いでもあった。10年前では想像すらできなかった土台が今はできている。表面的ではない深い両国の相互理解をどのように作って行くか、「日韓の架け橋」役としての在日コリアンの使命は大きい。今年は日本が朝鮮半島を植民地にして100年,日韓条約から40年という節目の年である。今の韓流をチャンスとして捉え、KEYの事業や仕事を通じて日韓の真の相互理解の一助となるよう努力していきたい。
(以下、省略) |