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K-magazine 第16号
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明日に向かって撃っちゃうよ!−日常の中の在日−

国籍に思う

 最近、私の友人が日本国籍を取得した。こうして文字にしてみるとあっけなく感じるが、その過程で彼女は夜も眠れないほど悩んだという。

 彼女との出会いは中学時代にさかのぼる。互いに日本名を名乗っていたが、彼女は私の日本名に目ざとく反応し、在日コリアンであることを明かしてきた。そのときの感情は本当に不思議なもので、いつも母が「日本人の友達もおるけどな、朝鮮人同士って何か違うのよ」といっていた理由がわかった気がした。特に仲がよいわけではなかったが、互いのルーツを確認しあった瞬間からいつも一緒にいる大の仲良しになった。

 そんな彼女の口癖は、「差別むかつく」と「帰化だけは絶対にせーへん」だった。私たちは直接的な差別を体験したわけでもなく、帰化についての本を読んだこともなかったが、間違ったことはいっていないと心から思っていた。先生のいう平等がうさんくさいことも感じていたし、実際に「私たち日本人はね」なんて言い出す先生を心では笑っていた。私たちはそのままでいたいと思っていただけだった。私たちが変わるのではなく、うさん臭いことを言う先生が、差別をする人が、社会が変わればいいと。私は今でも、彼女の「帰化だけは絶対にせーへん」という言葉が、「ありのままでいたい」という気持ちを表現する言葉であったと思っている。

 その彼女が、「帰化することにしてん…」と言ったときの衝撃は忘れられない。日本籍を取得するコリアンは増えていることも、これからも増え続けるであろうことも知っている。しかし、彼女の言葉によって、それらの事実が一気に私の目の前に現れたのだ。あんたはどう考えるの?あんたは彼女になんていうの?と、事実のひとつひとつが私に答えを迫ってきた。学習だけでは感じられなかった感情や複雑な思いが噴出し、なんで?どうして?疑問が頭をいっぱいにした。彼女が国籍を変えざるを得なかった状況に愕然としたし、恐怖すら感じた。

 クラス名簿を持ち出して在日コリアンっぽい名前を探しては、ターゲットになったクラスメイトに好きな食べ物や親の名前を聞きまくり、「誰誰は絶対そうやって!」と、こっそり楽しんでいた私たち。とうもろこし茶をめずらしがる友達たちに、「こんなん小さいときから飲んでたで」と自慢した私たち。私たちは在日コリアンであるからこその面白さを自分たちなりに探していた。

 彼女は結婚という、一般的には祝われるべき節目において帰化を迫られた。その皮肉な状況の中で悩みぬいた彼女は本当に強いと思う。今では、選挙に行ってみるわ!と明るく話す彼女を見て少しほっとしているが、私の中のモヤモヤした気持ちは晴れていない。それでも私は、在日コリアンであるからこその面白さを探しながら、これからも彼女と付き合っていきたい。


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