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K-magazine 第19号
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[Kカルチャー] 映画

『ブロークン・フラワーズ』 ジム・ジャームッシュ 監督(2005)

どんな映画でも、それぞれの思い出が残るもの。そんな中からベスト10を挙げよ。と言われても無理な話。しかしながら「昨年観た映画で印象に残った作品を10挙げよ」と言われれば、ジム・ジャームッシュ監督の「ブロークン・フラワーズ」は挙げよう。

独身中年男性ドン・ジョンストンは気ままな生活を送っていた。そこに届いたピンクの手紙。

「あなたと別れて20年になります。息子はもうすぐ19歳になります。彼は二日前、急に旅に出ました。きっと父親を探す旅でしょう。」

おせっかいな親友ウィンストンに20年前に関係のあった女性のリストを作らされ、強制的に手紙の手がかりを探す旅に出される。乗り気のしないドン。しかし、過去の女性を通じて、過去の事実に直面し、現在の自分と向き合うことになるのだった。

この映画は、青春ドラマ、且つオフビートコメディ。それを助長させるのは、主役のビル・マーレー。おとぼけクールなおっさんが、ピンクの花束を持って、自分でも訳のわからない旅に出るのだから、笑えないはずがない。ビル・マーレーはとぼけた中年を演じさせたらピカイチ!

そういえば、ロスト・イン・トランスレーション(2003)でも、おとぼけクールっぷりを発揮していた。でも、ゴーストバスターズ(1984)に出演していたと言ったほうが、分かりやすいかしら?そんなドンの過去の女には、セクシー女優のシャロン・ストーンや、ジェシカ・ラング。私は、ジェシカ・ラングが大好きで、ビッグ・フィッシュ(2003)にも出演。彼女の今回の役どころは、アニマルコミュニケーター、動物の気持ちを代弁するいたこ≠フような役。怪しい・・・。

他にも、付き合った女性を訪ねるのだけれど、快く受け入れてくれる女性もいれば、戸惑っている女性もいる。ドン自身も戸惑っている(彼の場合は常にだが)。私は思う、もし、どんな人と付き合っても、上手に別れよう。もしかしたら、私が同じような旅に出るかもしれない・・・。

とにかく、ビルは旅をするのだ。自分だけが変化していないことに気付かず、ただ違和感を覚え、とまどう。過去と未来。そして現在。

彼にとって、この旅はようやく、変化に気付く糧となる。美しいことだけですませようとした過去を、足をつけ、自ら向かっていき、そして知る。やっぱり孤独だし、これからの人生をどう生きるのか考える岐路にあるということを。

私たちも、そう。無理に未来に進もうとせず、ただ今の自分をよく見つめてみよう。過去を振り返ってみよう。昔の出来事が教えてくれることは、必ずあるのだから。

そういえば、結局、ピンクの手紙の差出人は分からず。もしかしたら、おせっかい親友ウィストンの悪戯なのかもしれない。でも、ドンは、そんなことどうでもよかったし、観ている私も、どうでもよかった。観終わった後には、ウェットな切なさを感じることができたのだし、枯れた花(元彼女とドン)は、美しかったし。


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