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声明文 [2005.9.17]
日朝首脳会談初開催から3年 今再び日朝間の対話促進と国交正常化を求める

 歴史的な日朝首脳会談が初めて開催されてから今日で3年を迎える。当初この会談は、日本と朝鮮民主主義人民共和国(以下:北朝鮮)との間の長きに渡る不正常な関係に終止符を打ち、国交正常化への第一歩となることが期待された。同会談で発表された日朝平壌宣言は、まさにその道標となるはずであった。ところが、正式に拉致問題が認定されたことを契機に、皮肉なことに日朝両国はこれまで以上に一層関係が冷却化することとなった。私たちは、20世紀に行われた植民地支配や国家暴力という負の遺産を克服し、東北アジアに平和を構築するという大局的な見地に立って、日朝間の対話が継続され、国交が樹立されることが今こそ必要であると考えている。

 2004年5月22日、日本の小泉首相が再訪朝する形で2回目の日朝首脳会談が実現した。会談後の記者会見で、小泉首相は「お互いの現在の不正常な関係を正常化していかなければならない、両国の敵対関係を友好関係に変えていく、対立関係を協力関係にしていく、このことが両国にとって最も利益になるという大局的な話をしたいということで、今回敢えて再訪朝した」と発言している。私たちは、こうした考え方を改めて支持するとともに、現在でもこの路線が継承され、日朝間の対話が粘り強く継続されることを強く望むものである。しかしながらこの3年間、日本では関係正常化とはかけ離れた状況が展開されてきた。拉致問題に加え北朝鮮の核開発問題なども再びクローズアップされる中で、北朝鮮への経済制裁を行うべきだという動きや論調が根強く存在してきている。私たちは北朝鮮に対する経済制裁に改めて反対の意思を表明する。経済制裁は東北アジアの緊張をより一層高め、日朝交渉をさらに停滞させるだけである。また、こうした風潮がエスカレートし、日本国内の反北朝鮮感情がさらに高まることを私たちは大変危惧している。

 日朝間の対話再開に向けて、私たちはまず北朝鮮政府が現在もなお拉致問題に対して誠実な対応を十分行っていないことについて強い憂慮を表明する。日本側が真相究明を求めるといかんに関わらず、自ら率先して拉致被害者の安否調査や情報公開を十分に果たすことが北朝鮮政府としての責務であろう。安否不明とされるものが少しでも存在する以上、少なくとも調査は誠実に継続されるべきである。私たちは今後も引き続き拉致問題解決に向けた北朝鮮政府の誠意ある対応を求める。また、最終的に交渉が決裂する要因となった「遺骨問題」に関しても、日本側と北朝鮮側双方の見解が食い違っている以上、新たに事態打開に向けた科学的で建設的な交渉を進める必要があるだろう。

 さらに、そもそも日朝の関係正常化という問題は、日本の北朝鮮に対する戦後処理が戦後60年経った現在においても全く行われていないという異常な状況を抜きにしては語れない。私たちは二度にわたる首脳会談において、日本の朝鮮植民地支配の清算に関する議論がほとんど行われなかったことを非常に危惧している。日朝平壌宣言においても、植民地支配に対する責任をいわゆる「経済協力方式」で解決することなどが盛り込まれたが、このような双方国家の国益を最優先させるような交渉で、半世紀以上も踏み躙られた被害当事者の人権が無視されてしまえば、当事者の方々の心に回復できない傷を残すことになる。また、日本政府の植民地支配に対する不誠実な対応と、戦後とってきた北朝鮮への敵視政策が、両国間の相互不信を作り出す要因となってきたことも否定できない。私たちは改めて今後の日朝交渉において同問題を十分に議論し、日本政府が植民地支配の明確な謝罪と戦争被害者個人に対する国家補償を実現することを強く求める。植民地支配の清算問題と日本人拉致問題は、人道的見地から、あるいは両国間の信頼を醸成する上でどちらも必ず解決されなければならない問題である。双方が自らの過ちを主体的に見つめ直し歩み寄る姿勢が必要ではないだろうか。

 日朝間の交渉が停滞する一方で、今年の7月26日、北朝鮮の核問題を巡って6カ国協議が再開された。核兵器の存在は、いかなる場合においても肯定されるものではなく、今年2月10日の核保有宣言を始めとした北朝鮮の核開発に対する様々なシグナルは当然非難されるべきものである。しかしながら、核兵器を持つ国と持たざる国があるのも歴然たる事実であり、日本が米国の「核の傘」の下に外交を展開していることもまた指摘されなければならない。朝鮮半島や東北アジアの非核化という問題は、米国のアジアへの核兵器のプレゼンスを抜きには語れないのである。日朝両国間の信頼醸成と国交正常化は、必ずや核問題の背景となっている東北アジアの冷戦的な対立状況に風穴を開けるものと信ずる。日本がとるべき進路は、北朝鮮を始めアジア各国との対立や緊張を煽ることではなく、率先してアジア各国との信頼関係の構築、すなわち植民地支配や戦後の冷戦対立が産み落としてきた負の遺産を自ら克服していくことにある。そのことへのビジョンを示し、行動していくことが現在最も優先されるべき日本の外交努力ではないだろうか。

 私たち在日コリアンは、日本と朝鮮半島という3つの国家の境界に生きる存在である。私たちは、そのことを否定的にとらえるのではなく、国家の境界から発信する在日コリアンこそが東北アジアの未来を切り開いていくことができると確信している。在日コリアンの現状に関して、第2回首脳会談の席上、日本側は在日朝鮮人に対する差別が行われないよう友好的に対応することを約束した。北朝鮮に対する敵意と蔑視が拡がる日本社会において、私たちは切実な思いでこの約束が守られることを改めて訴えたい。そして今後行われるべき日朝交渉において、両国政府が在日コリアンの権利に関しても十分に協議し、当事者である在日コリアンの声がきちんと反映されることを私たちは求める。

 一世紀にも渡る不正常な関係が続いた日朝両国の間に残る懸案を一朝一夕に解決することはもちろん困難であろう。諸課題の解決に向けたたゆまない対話の努力が両政府間でなされることが必要であり、また草の根からの相互理解と交流が今後より一層促進されなければならない。こうした認識の下、私たちは日朝首脳会談初開催から3年を迎える今日、今再び日朝間の対話促進と国交正常化を求めるものである。

2005年9月17日
在日コリアン青年連合

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