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東京都杉並区への緊急抗議文 [2005年8月13日]

杉並区教育委員会 委員長  丸田 頼一様
杉並区 教育長  納冨 善朗様

杉並区教育委員会は「つくる会」教科書採択決定を直ちに撤回せよ

 私たちは激しい怒りを禁じえない。去る8月12日に杉並区教育委員会は、来春から杉並区立中学校23校で使われる中学校歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)主導で編纂された扶桑社版教科書(以下「つくる会」教科書)の採択を決定した。

 よく知られているように、「つくる会」教科書は、日本による朝鮮植民地支配を正当化し、強制連行や日本軍「慰安婦」についての事実を記載せず、南京大虐殺についてもその存在自体が疑わしいという立場さえ紹介している。このように、「つくる会」教科書は▽アジアへの蔑視、▽植民地支配の肯定、▽日本の加害事実の隠蔽といった特徴を持っている。

 このような教科書について、杉並区の市民を中心とした3万名の署名や日本全国各地から集められてきた採択反対の声を無視し、そして杉並区姉妹提携都市である、韓国ソウル市端草区の市民から寄せられた数多くの採択憂慮の声までも無視し、採択が強行された。さまざまな批判を浴びている「つくる会」教科書の採択は、教育のことを考えた結果ではなく、山田宏杉並区長の政治的意図から行われたものであることは明白であり、私たちはこのような「つくる会」教科書の採択に断固として抗議する。

 また、杉並区には2004年時点で、3,081人の韓国・朝鮮籍保有者を始めとした数多くの在日コリアンが居住しているが、「つくる会」教科書は、地域に住む在日コリアンの立場からも見ても憂慮されるべき教科書である。私たち在日コリアンは、日本の植民地支配によって日本に暮らすようになった歴史を有している。しかしながら、朝鮮への植民地支配を肯定し、日本が朝鮮人に対して行った加害行為と数々の植民地化政策を肯定する哲学に貫かれた「つくる会」教科書で教育を受けた日本の次世代は、私たち在日コリアンをどのような目で見るだろうか?歴史を否定し、ひいては、私たち在日コリアンの存在自体を歪曲することだろう。

 「つくる会」教科書はアジアやアジアに住む人と共に生きていくという観点から記述された教科書ではない。「つくる会」教科書は、過去の反省に基づいた日本と朝鮮半島やアジア各国との和解を志向するものではなく、アジアを蔑視しながら再び戦争のできる日本を担なっていこうとする学生をつくることを志向しているとの危機感を持たせる教科書だ。そして、そのような社会風潮によって犠牲を受けるのは、まさに日本に住む外国人である私たち在日コリアンだ。

 このように「つくる会」教科書は、日本とアジアとの友好関係を損なうものであり、日本に住む在日コリアンの歴史性を無視するものであり、アジアの平和を脅かすものである。このような教科書を採択するという決定をした杉並区教育委員会は自らを大いに恥じなければならない。
私たちは、杉並区教育委員会が「つくる会」教科書採択決定を即刻撤回することを強く要求する。

2005年8月13日
在日コリアン青年連合(KEY)
共同代表  宋勝哉 金宅守 金朋央

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