【声明文】在日コリアンとして入管法等改定による外国人管理強化に反対する
日本政府は2009年3月に入り「住民基本台帳法」(住基法)改定案、「外国人登録法」(外登法)の廃止を含む「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改定案、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)改定案を相次いで国会に上程した。それら法案が明らかにするものは在日外国人がより強化された管理体制の中におかれるという、私たち在日コリアンにとって看過できない事態である。
その新たな在留管理制度は中長期在留者に在留資格・期間をはじめとする在留情報を記載した「IC在留カード」を交付し、この在留カードの常時携帯・提示義務を厳しい罰則とともに課している。身分事項や住所等に関する当人による届出だけでなく、学校・職場といった所属機関にも離脱や移籍といった情報提供を義務付けることにより、中長期滞在者の日常生活に関わるあらゆる情報が、在留管理に関わる広範な権限を持つ法務省・入管局に集中することになる。その情報を在留資格取消や在留期間更新などの審査に利用するという強力な管理体制が生まれようとしている。そのような厳しい管理体制の下では、中長期滞在者に対する差別的処遇が横行するなど、生活の安定が容易に侵害される可能性が高まる。さらに、様々な理由で非正規滞在となった在日外国人は、各種行政サービスから排除される可能性が一段と高まり、人道上の最低限の保障からも漏れるという事態が生じかねない。
また、旧植民地出身者とその子孫である特別永住者は「特別永住者証明書」を交付され、別途の取り扱いがなされようとしているが、証明書の不携帯等、これまでの外国人登録証明書と同様の罰則規定が示されており、特別永住者の人権状況を実質的に変えるものとはなりえない。このような表面的な変化は在日外国人から、在日コリアンをはじめとする特別永住者を分離することで、法制度の構築にあたって比較的地位の安定している集団からの批判をかわそうとする意図すら感じさせる。そして、入管法改定案が新たに規定し、入管特例法において特別永住者にも準用するとしている「みなし再入国許可」は「有効な旅券」の所持を要件としており、結果的に朝鮮籍保持者が差別的に取り扱われることは明白である。
このように、新たな在留管理制度は在日外国人の人権状況や生活の質を高めるものではなく、分断と管理によって、在日外国人に苦痛をもたらす制度と言わざるをえない。
在日コリアンはその誕生から現在に至るまで、常に日本政府から危険な存在として管理・監視制度の中に置かれてきた。1947年の外国人登録令をはじめとする外国人管理制度の中で、外国人登録証明書の常時携帯・提示義務、指紋押捺義務等が課せられてきた。2000年に一度は全廃された指紋押捺制度も、国際的な「テロとの闘い」と外国人管理強化という潮流の中で、一部を除く外国人から入国時に顔写真・指紋情報を採取するという新たな入国管理制度の中に復活している。危機感を煽り、管理を全面に押し出す日本政府の外国人政策の基調に変化は無く、私たち在日コリアンを取り巻く管理・監視の網は今も残存したままである。そのような状況を放置したまま「多文化共生」を語る日本政府に私たちは矛盾を感じずにはいられない。
私たちは在日コリアンという当事者の立場において、共生とは矛盾する在日外国人の管理・監視体制の強化に反対する。そして歴史認識をともなう多民族多文化共生社会の実現に向けて、在日外国人の人権を確立するために以下のことを掲げながら行動することを改めて表明する。
一、今回の法改定が表している在日外国人管理体制の強化に反対する。 一、在日外国人に関わる法制度の構築にあたり、当事者の意見を収集し、尊重することを求める。
2009年4月28日
在日コリアン青年連合(KEY)
共同代表 康利行 金朋央
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