日朝首脳会談初開催から4年、日朝間の葛藤を乗り越え国交正常化を求める
2002年9月17日に歴史的な日朝首脳会談が開催されてから4年、今なお日本と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)との間の不正常な関係は解消されないままにある。4年前の今日、日朝平壌宣言の発表によって、その不正常な関係に解決の光が差したかのように見えた。しかし、その会談において北朝鮮政府が公式に認めた拉致問題は日本社会の激しい怒りを買い、国交正常化への道は再び闇に閉ざされることとなった。日朝両国の関係は修復が不可能と思えるまでに悪化し、現在は解決の道筋が見えない膠着状態にある。しかし、私達はその中でも対話を続け、国交が樹立されることが必要であると考える。
拉致問題の進展が見えない中、2006年7月5日に北朝鮮政府によって行われたミサイル発射実験は日朝関係をさらなる混乱の中に誘うものであった。この「危険な外交手法」は日本や米国を始めとした関係国の姿勢をさらに硬化させることとなった。北朝鮮政府は東アジアの緊張をこれ以上高めないためにも、6カ国協議などの多国間関係の中で東アジアの安定を築くために行動すべきであろう。
一方、日本の対応にも憂慮すべき点がある。今回のミサイル発射実験以降、日本社会はこれまでにも増して北朝鮮に対するバッシングの勢いを強め、同じくして日本政府の対応も強硬なものとなっている。その対応の前提として、現在の日朝間の不正常で緊張感に溢れた関係が北朝鮮政府による行為のみによって生じているとの認識が見受けられる。しかし、この関係が生じた背景として、朝鮮半島が日本による植民地支配から解放されると同時に冷戦構造の中に巻き込まれることになったこと、その冷戦構造が未だに日朝関係に影を落としているという事を認識しなければならない。また、日朝間の不正常な関係は日本政府の北朝鮮に対する戦後処理が解決されてこなかった事にも原因があることを忘れてはならない。61年以上経った今もこの東アジアの地で植民地支配の残滓が解消されないままで存在しているのである。一方の国家の非に全ての責任があるという姿勢では解決を見ないことを双方は認識しなければならない。
現在、米国政府の北朝鮮敵視政策と日本政府の制裁措置は北朝鮮をさらに孤立させる方向に向かわせている。この状況に対し、北朝鮮政府も限られた外交手段の中でより強硬な態度をもって応えている。東アジアを巡る情勢は、一方の強硬がもう一方のさらなる強硬を生み出す悪循環に陥っている。この情勢の中で、日本政府は今こそこの悪循環を断ち切るべく行動すべきではないだろうか。この際に、圧力や武力による解決策が何の罪もない一般市民を苦しめることになるという事を考えなければならない。今、日本政府に求められるのは「悪者を懲らしめる」制裁ではなく、冷静な視点の元での対話による外交努力である。
現在、日本政府によって一部とられている北朝鮮への制裁措置は私たち在日コリアンにも再入国許可の制限などといった形で少なからぬ影響を与えている。今後、制裁措置が強化され続けることになれば在日コリアン社会に与える影響もさらに大きくなることが懸念される。これまでも在日コリアンは不正常な日朝関係の中で法的地位や権利に制限を受けてきた。私たち在日コリアンは日本と朝鮮半島との関係による影響を生活の場でも強いられうる存在なのである。日朝国交正常化の過程ではその在日コリアンの声を反映し、法的地位や権利の保障を含めたより広範な問題が解決されることを私たちは求めている。
現在の日朝関係は異常と言える状態にある。双方の敵意と不信感は歯止めが無いかのように高まり続けている。しかし、その中にあっても対話によって国交正常化への道を模索しなければならないということを、私たちは日朝首脳会談が初めて開催されてから4年を迎える今日、改めて求めるものである。 2006年9月17日
在日コリアン青年連合
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